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山男にゃ惚れるなよ

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海抜3000mの山小屋の朝を迎えた。
「ヨーロレイヒーッ!」と叫びたくなるサンライズが眩しい。
これぞ”中央アジアのスイス”。

さあ今日はここから更に登って、渓谷の間を抜けて湖を目指す。
昨日”ロシア人カップル”「湖」の写メールを見せてもらい、行きたくなった。

山小屋「ヤク」の”山男バレンタイン”に”簡単”な地図を描いてもらい、いざ出発。
往復5時間のトレッキングだ。

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天山モミの木を眺めながら、川沿いを進む。やっとこさ橋を見つけ渡ると、上と下(どちらも道なし)の分かれ路。目指す湖は確実に上にあるので強引に茂みを掻き分けていく。

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この時点でもう正規の道では無いと解かったが、引き返すのも面倒になり突き進む。
”泥んこ”になりながら一気に峰まで登り詰めると視界が”ワッ”と開けた。

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草原が広がり、聴覚を刺激するのは僅かに聞こえてくる”川のせせらぎ”と鳥の鳴き声のみ。
「丘を越~え~行こうよ~」と口笛を吹きながら少し軽くなった歩を進めていく。1つ丘を越え窪地に入ると川の流れも聞こえなくなった。

無音状態。

聞こえるのは草の上を歩く自分の足音と息遣いだけ。

その時先を行く”ツネ”が叫んだ。「We Get The Lake!」
丘を越えるとそこには大きな湖がオアシスの様に現れる。

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先ずは風が止むの待つ。
すると万年雪を着飾った4260mの”パラータ山”が水面にリフレクション。
来た甲斐があったと実感。

”タオ”と”ツネ”と僕の3人しかいない大草原。そこで少しでも腹にもたせる様に”ゆっくり”とパンをかじった。
とてつもない開放感に浸りながら宿に戻っていく。

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”山男バレンタイン”は買出しの為下山中。代わりに”オーナー”を命じられた”ツネ”が鍵を開けた。

”ぐ~…”小屋の中へ入ると急激にお腹が空いてきた。すると料理人”ツネ”が遅い昼ご飯を作り始める。事前に聞いていた小屋の貯蔵庫からジャガイモやタマネギを取り出し皮を剥く。水は温泉水の汲み水。なにせ水も電気もない山小屋。かろうじてあるプロパンガスで調理していく…。

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即席の袋麺の乾麺はスープの中へ。粉スープは炒め物の隠し味に使い、無駄なくスピーディに2品こしらえた。

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ハッキリ言って”バレンタイン”よりも美味い。

腹を満たし、少し寒くなるのを待って風呂に向かう。
今日は有料の方へ。

200m離れた隣の家の温泉小屋に向かった。
8つある個室風呂の鍵を4つ渡され好きな部屋を選ばせてくれる。いつまでも誕生日なんていってられないのにまた僕から選ばせてもらった。

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硫黄の匂いが強い酸性の湯は、日に焼けた肩にしみる程の濃い泉質だった。
カケ湯でゆっくり2時間入ると皮膚についた細菌が全て死滅していくような感覚。
そして50度のお湯はしっかり疲れを癒してくれた。
「comfortable!」

宿に帰ると”バレンタイン”が帰宅している。もう1度湖までの道を確認すると、橋を越えてからは右へ行くのが正規ルートだとキッパリ言われたのでした…。
大事な所をちゃんと言ってよ~!!
by hiro5159 | 2008-05-12 18:01 | キルギス

三十路オーバーの世界一周旅行日記、タイトルは唄の種の略


by hiro5159